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KiCadで作った基板をJLCPCBのPCBAで実装発注してみる

KiCadで作った基板をJLCPCBのPCBAで実装発注してみる

KiCadで作成した基板をJLCPCBのPCBAで部品実装込み発注する手順を、BOM・CPL作成から注文前確認まで解説します。

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はじめに

この記事では、KiCadで設計した基板をJLCPCBのPCBAサービスに出して、部品実装込みで発注するまでの流れをまとめます。

JLCPCBのPCBAとは

JLCPCBのPCBAは、基板の製造だけでなく、部品の実装までまとめて依頼できるサービスです。

通常、基板を発注する場合は、完成したプリント基板だけが届きます。その後、抵抗やコンデンサ、ICなどの部品を自分ではんだ付けする必要があります。一方、PCBAを利用すると、JLCPCB側で部品を基板に実装した状態で届けてもらえます。

環境

  • KiCad 10.0
  • Fabrication Toolkit 5.3.0

手順

ここからは、KiCadで作成した基板をJLCPCBのPCBAに発注するためのデータを準備していきます。

今回は、KiCadのプラグインとして Fabrication Toolkit を使用します。Fabrication Toolkitを使うと、JLCPCBへの発注に必要なGerberファイル、ドリルファイル、BOM、CPLファイルなどをまとめて出力できるため、手作業で個別にファイルを作成するよりも楽になります。

事前にKiCadのプラグインマネージャーからFabrication Toolkitをインストールしておいてください。

フィールドの追加

まず、JLCPCBで使用する部品番号をKiCadの部品情報に追加します。

KiCadの回路図エディターを開き、メニューから シンボルフィールドを一括編集 を開きます。ここで、新しいフィールドとしてJLCPCB Part # を作成します。

このフィールドには、JLCPCBで実装に使う部品の部品番号を入力します。部品番号はCからはじまる数字です。使用できるパーツはhttps://jlcpcb.com/parts ここで確認できます。

この設定をしておくことで、あとでFabrication ToolkitからBOMを出力したときに、JLCPCB側でどの部品を実装するかを認識しやすくなります。

特に、抵抗やコンデンサのように同じ値でも複数の部品候補があるものは、意図した部品が選ばれるように JLCPCB Part # を正しく入力しておくことが重要です。


部品番号の入力

作成した JLCPCB Part # フィールドに、各部品のJLCPCB/LCSC部品番号を入力していきます。

JLCPCBのPCBAでは、実装に使用する部品をJLCPCB側で認識できる必要があります。そのため、抵抗、コンデンサ、IC、LEDなど、実装してもらいたい部品には対応する部品番号を設定しておきます。

部品番号は、JLCPCBの部品検索やLCSCのページから確認できます。たとえば C25804 のような形式の番号を、各部品の JLCPCB Part # フィールドに入力します。

同じ値の抵抗やコンデンサでも、サイズや許容差、定格電圧、在庫状況によって複数の候補があります。見た目や値だけで選ばず、フットプリントと部品のサイズが合っているかを確認してから入力します。

PCBへの反映

回路図側で部品番号を入力したら、PCBエディター側に変更を反映します。

KiCadのPCBエディターを開き、回路図からPCBを更新します。これにより、回路図で追加したフィールド情報が基板側の部品にも反映されます。

この作業を忘れると、あとでFabrication ToolkitからBOMやCPLを出力したときに、部品情報が正しく出力されない場合があります。

特に、部品番号を追加した後や、部品を差し替えた後は、必ずPCB側を更新しておきます。

フットプリントと部品の確認

次に、実装する部品のフットプリントを確認します。

JLCPCBで選んだ部品と、KiCad上のフットプリントが一致しているかを確認します。たとえば、抵抗やコンデンサであれば、0603、0805、1206などのサイズが合っているかを見ます。

ICやコネクタの場合は、ピン数やピン間隔、部品の向きが特に重要です。フットプリントが似ていても、実際にはピン配置が違うことがあるため、データシートやJLCPCB側の部品情報を確認しておくと安心です。

ここで間違えると、部品が実装できなかったり、実装されても正しく動作しなかったりする可能性があります。

実装しない部品の整理

PCBAで実装しない部品がある場合は、BOMやCPLに含まれないようにしておきます。

たとえば、後から自分ではんだ付けするピンヘッダやコネクタ、デバッグ用の部品、実装しないオプション部品などは、JLCPCBに実装してもらう対象から外します。

KiCad側で「実装しない」設定にするか、Fabrication Toolkitの出力結果を確認して、不要な部品がBOMやCPLに含まれていないかを確認します。

PCBAでは、BOMに含まれている部品は実装対象として扱われるため、不要な部品が混ざっていないかを発注前に確認することが重要です。

Fabrication Toolkitでデータを出力する

準備ができたら、KiCadのPCBエディターから Fabrication Toolkit を実行します。

Fabrication Toolkitを使うと、JLCPCBへの発注に必要なファイルをまとめて出力できます。主に出力されるのは、基板製造用のGerberファイル、ドリルファイル、部品表であるBOM、部品配置情報であるCPLファイルです。

JLCPCBのPCBAでは、BOMとCPLが重要になります。BOMにはどの部品を使うか、CPLには部品を基板上のどこに、どの向きで実装するかという情報が入っています。

出力後は、生成されたファイルの中にBOMとCPLが含まれているかを確認します。ファイル名はbom.csvposition.csvです。

JLCPCBにアップロードする

出力したファイルを使って、JLCPCBにデータをアップロードします。

まず、Gerberファイルをアップロードして、基板のサイズ、層数、外形、レジスト色などの設定を確認します。その後、PCB組み立ての項目を有効にし、次へをクリックします。

BOMファイルとCPLファイルをアップロードします。

アップロード後、JLCPCB側で部品リストが表示されます。ここで、部品番号が正しく認識されているか、在庫があるか、実装可能な部品かを確認します。

在庫切れや未登録の部品がある場合は、代替部品を選ぶか、KiCad側の部品番号を修正して再度BOMを出力します。

実装プレビューの確認

BOMとCPLをアップロードすると、JLCPCB上で部品の実装位置を確認できます。

このプレビューでは、部品が正しい位置に配置されているか、向きが合っているかを確認します。特に、ICの1番ピン、LEDやダイオードの極性、コネクタの向きは必ず確認します。

以下の画像だと中央のマイコンの向きが間違っているため、上のツールバーから回転させて正しい向きに合わせます。

もし向きが違っている場合は、KiCad側のフットプリントの向きやCPLの回転角度を確認します。必要であれば、KiCad側を修正して、Fabrication Toolkitで再度ファイルを出力します。

PCBAでは、発注後に部品の向き間違いに気づいても修正が難しいため、この段階でしっかり確認しておきます。

発注前の最終確認

最後に、発注前の確認を行います。

Gerberのプレビューで基板形状に問題がないか、BOMに不要な部品が入っていないか、CPLで部品の位置や向きが正しいかを確認します。

また、部品の在庫状況、PCBAの費用、送料、納期も確認しておきます。部品代や実装費が加わるため、基板単体の発注よりも合計金額が高くなる点にも注意が必要です。

問題がなければ、そのまま注文を進めます。

おわりに

今回は、KiCadで作成した基板をJLCPCBのPCBAで発注するための手順をまとめました。

PCBAを利用すると、基板製造だけでなく部品実装までまとめて依頼できるため、手はんだの手間を大きく減らせます。特に、表面実装部品が多い基板や、小さい部品を使った基板ではかなり便利です。

一方で、通常の基板発注とは違い、Gerberファイルだけでなく、BOMやCPLファイルの準備が必要になります。また、JLCPCBで実装できる部品を選び、部品番号を正しく設定しておくことも重要です。

特に確認しておきたいのは、BOMに意図した部品番号が入っているか、CPLで部品の位置や向きが正しいかという点です。IC、LED、ダイオード、コネクタなど、向きが重要な部品は、JLCPCBの実装プレビューで必ず確認しておくと安心です。

最初は少し手順が多く感じるかもしれませんが、一度流れを作ってしまえば、次回以降はかなりスムーズに発注できます。KiCad側で JLCPCB Part # のフィールドを整えておくと、同じ部品を使う別の基板でも再利用しやすくなります。

試作基板を手早く作りたい場合や、手はんだが大変な部品を使う場合には、JLCPCBのPCBAは便利な選択肢になると思います。